とりあえずどうしたらいいの?


まずは情報を集めよう
「住みやすさ派」のしろくま妻と「自由な空間派」のしろくまとの低レベルな戦争は、身に降りかかるあれやをきっかけに「自由な空間派」の優勢へと傾くことに。
しかし、とはいえ、それでもそう簡単にマンションを手放すということにはなりません。それは至極当然のことです。
もともと自分たちが住みやすい場所に、自分たちが住みやすい条件で選んだマンションです。
予算の制約はあったものの、二人で納得して選んだわけで、そこに自分たちが生活しやすいように家具やものを配置し、そこでの生活に慣れきっています。
ここを引っ越すということは、現在の自分たちの生活を根底を覆して、また一から同じことを繰り返すということです。
しかも次の住まいも、あれやこれやが原因で住みにくくならないという保証はどこにもないわけで。誰しも臆病になるのは当然のことでしょう。
そこで、二人の妥協点を探ります。
「まずは情報を集めよう」
当然、そうなります。
あらゆる角度から考えて、マンションと一軒家は、どちらがわが家にあっているか。引っ越すべきかとどまるべきか。そもそも一軒家なんて買えるのか?
まあ諦めるのは、いつだってできます。目標を決めて、そこに向かって進むことは、無駄にはなりません(と、信じたい)。どちらを選択しても、回れ右で戻れる地点まではノーリスクです。
ならばまずは、どっちに転ぶにしても情報を集めてからにしよう。
進めるにせよ、諦めるにせよ、どちらかを選ぶにしても、僕らには情報が少なすぎます。
グーグル先生にきいてみた
手始めにパソコンの前に座り、ブラウザに「一軒家を建てるには」と入力し、エンターキーを力いっぱい叩きます。
小気味よい音が鳴ります。
グーグル先生が回答を示してくれます。
スポンサーリンクがいくつか続いた後に、AIによる概要が表示されました。
「一軒家を建てるには、土地探しや建築会社探し、資金計画、住宅ローンの審査など、さまざまな手順を踏みます」
早くもめまいがしそうです。
しろくまの住処、現在のしろくまマンションは中古マンションなのですが、購入手順は、①ネットで物件探し②内見③銀行にローンの申し込み④契約&ローンの実行、ざっとこんなところでした。
要は、気に入った物件があったら、銀行に話を通して、あとは仲介業者にお任せです。文字にすれば簡単ですが、これだけでもかなり労力を使った記憶があります。
しかし、しろくまの漠然とした質問に対する、AIの回答を一行を読むだけで、それの何倍もの工程を踏まなければならないことが、容易に読み取れてしまいます。
「建売住宅があるじゃん」
とか考えてみました。
建売住宅であれば、マンションとほぼ同様の手順で行けそうではあります。
しかし、みなさんご存じかと思いますが、建売住宅はもともと出来上がった家を買うわけですから、当然、自由度が極端に狭い家になるわけです。
「あーリビングのとなりに開放的な和の空間がほしいなー」
なんてことをつぶやこう日には、
「は? 間取り変更なんでできるわけないじゃん」
と、一蹴されるのがオチです。
それではしろくまの夢は実現できません。
では、はたして建売住宅を、現在のマンションを手放してまで購入する意味はどこにあるでしょうか? この時点でしろくま夫妻の選択肢から、建売住宅は消滅しました。
まあガンプラも完成品を手に入れるより、自分の手で組み立てて完成したザクの方が喜びが大きいわけですし、なにより「自由な空間」を手に入れるための労力と考えれば、多少の労力は覚悟のうえですしね。
この世の中は情報であふれている
閑話休題。
さて、グーグル先生の授業は続きます。
ブラウザを下へ下へとスクロールすると、いろいろなハウスメーカーさんたちのホームページが次々と表示されていきます。
誰もが一度は聞いたことがある有名なメーカーの名前。ちょっと聞いたことがないような工務店の名前。しろくま夫妻はそれぞれのサイトを片っぱしから開いていきます。
木造住宅、鉄骨住宅、RC造住宅…
断熱性能、耐震性能、換気性能…
坪単価、外構費用、諸経費…
は?
しろくまは海外のサイトを見ているのだろうか?
言葉の意味がまったく分からないです。
さすがに住宅のつくりくらいはわかりますが、C値とかUA値とか、はたまたZEHとか。
「一軒家ユーザーのみなさまは、この難解な用語をすべて読み解いて、帰国子女のごとくペラペーラと、業者のかたと打ち合わせを重ねたうえで、家を建てたというのか!?」
しかも、どこのホームページを覗いても、「わたしの会社が一番ですよ」的な書き方をしていて、人間不信ならぬハウスメーカー不信に陥りそうになります。
「まあウチはスキマ風がちょいと吹くけど、その分地震では絶対に壊れないほど頑丈な家をつくってやるぜ? まあ台風で屋根が飛んでもご愛敬さ。ガハハハ!!」
なんて書いてあるところはどこにもないわけで。
各社、自社の強みを最大限アピールするのは当然で、ネガティブ要素を隠しているわけではない。それはしろくまも充分承知しているつもりです。
しかし、これほどまでに情報があふれていると、何をベースに取捨選択をしていけばよいのかわかりません。
誰か助けて!
わからないなら教えてもらおう
そんなしろくまに、とあるリスティング広告が目にとまります。
「SUUMO」
「LIFULL HOME’S」
基本リスティング広告は、知りたいことが解決できずに、「ドヤァ、欲しくなっただろ? さあ買え。今すぐ買え」といわれている気がして読み飛ばす派のしろくま。
しかも先入観から、これらの会社は賃貸マンションの仲介会社なんだと思っていました。
賃貸マンションの仲介しか取り扱っていないんだと思い込んでいました。
そんなおマヌケなしろくまは、コレジャナイ感を抱きながら、タイトルに続く文言を目で追います。
「あれ?」
どうやら賃貸や分譲マンションだけじゃなく、いろいろ相談に乗ってもらえるらしいです。
そういえば緑の丸っこいのが出てきて、姉妹が「ダケジャナイ」的なことを口走るコマーシャルを見たことがある気がする。
聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥
しろくま母の口癖でした。
まあ、マイホームの建て方なんて、みんな知っているようで知らないだろうし、別に恥だとも思いませんが、とにかく分からないことをいろいろきいてみよう。
そんなこんなで、さっそく申し込み画面に情報を入力するしろくまなのでした。